疲労とは何か?
疲労には様々なものがあるが、
運動時に生じる疲労は、ATP(エネルギー)の供給量が運動の需要量に追いつかなくなることが主な原因である。
ATPが利用されると、リン酸が一つ外れてADPとなる。基本的には、ADPに再度リン酸をつける事によりATPを再合成し、筋肉にエネルギーを供給し続けるような仕組みとなっている。
この仕組みが追いつかなくなると、どうなるのか?
ADPとリン酸が増えるのである。
ADPとリン酸は、運動の初期段階では筋肉内のエネルギー産生を活性化するシグナルとして働くが、運動開始後5〜10秒でPCr系の活性は低下し、また15〜25秒ほどで解糖系の活性も低下してくる。
これは必然的に生じ、結果としてATP産生がその需要に追いつかなくなる。
それに伴いADPやリン酸がどんどん蓄積していく。
一方、筋肉の収縮は筋小胞体という袋からカルシウムイオンを放出することで生じるが、この働きをリン酸が阻害することが明らかとなっており、これが疲労をもたらしているのではないかと考えられている。
ゆえに、リン酸が疲労の原因であるとする説が現在有力となっているのだ。