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スポーツ障害の応急手当

スポーツ障害には大きく分けて急性のものと慢性のものがあるが、今回は急性のスポーツ障害への対応の仕方を紹介する。

急性のスポーツ障害には、
打撲、捻挫、肉離れなどがある。
他にも様々なものがあるだろうが、アスリートに起こりやすい捻挫や肉離れに焦点を当てて考えていく事にする。

捻挫は主にとっさの切り返しや跳躍動作、また地形の不備などによって起こりやすいスポーツ障害であり、
肉離れは瞬発的な筋力発揮(加速や跳躍、ダッシュ等)やブレーキ(ストップを含む)などの際に起こりやすいスポーツ障害である。

肉離れに関しては、主にエキセントリック収縮(伸張性収縮)の際に起こるもので、筋肉がツッたというようなコンセントリック収縮(短縮性収縮)の際は肉離れを起こす事はないと考えられる。
参考までに。
(→筋収縮の種類の詳細についてはこちら)

それでは、実際にこれらのスポーツ障害が発生してしまった時、どうすれば良いだろうか。

一般的に言われているのが、RICE処置である。

RICE処置とは、
R→Rest(安静)
I→Ice(冷却)
C→Compression(圧迫)
E→Elevation(挙上)

のそれぞれの頭文字を取ったものであり、これら4つの処置をまとめたものでもある。

なぜRICE処置が推奨されているのか。
それは、障害による二次的被害を防ぐためである。

まず、一次的な被害とは、捻挫だと関節を捻ることで靭帯を痛めることであり、肉離れだと筋線維が過度に断裂することである。
これら一次的被害が起こった時、患部では内出血が起こり、酸素等が必要な健全な組織に血液が届かないような状態に陥っている。この状態を放置すると、組織の傷が拡大し、内出血の程度も大きくなる。また健全な組織も酸素不足状態が続くことで壊死してしまう。
これらが二次的被害である

この二次的被害を防ぐためにRICE処置を行うとどうなるか。

①安静にすることで傷の拡大を防ぐ。
②冷却することで血流を抑制し、内出血や腫れ、炎症を抑える。また、健全な細胞を一時的に冬眠させ、壊死を防ぐ。
→アイシングの詳細はこちら
③圧迫することで血流を抑制し、内出血や腫れを抑える。
④挙上することで血流を抑制する。

これらの結果、内出血における被害を最小限に抑えることができ、健全な細胞を二次的被害から守る事が出来るのだ

具体的には、腫れや痛みを最小限に抑えることができ、リハビリも行いやすくなり、競技復帰が早くなるのである。

一方、応急処置やリハビリを適切に行わなかった場合は、痛みが生涯残ったり、筋収縮が悪くなったり、機能的に治りきらないケースも多い。

応急処置を行う事は、治りを早めるだけでなく、治りの程度を高めたり、自身の素質を守ったりするために非常に重要な行為なのである。

上記のことを踏まえると、捻挫や肉離れをした後、関節をぐりぐり動かしたり、ストレッチで強く伸ばしたりする事はNGだとおわかりになるだろう。
なぜなら患部の傷が広がり、内出血などを促進させてしまうからだ。
怪我したその日に患部を温めることもNGだ。


組織の傷口がふさがり、内出血止まり、炎症がある程度鎮静した段階で温めるという行為を入れていくと良いのだ。
温めることで血流が良くなり、患部の組織を修復するのに必要な栄養が多く届くことから、治りを助けることにつながる。
温める段階に入ったとしても、運動後のアイシングは入れるべきである。

温め始める段階は、怪我の程度を考慮して判断しなければならない。


ざっくりであったが以上が、
急性スポーツ障害発生時における応急処置の目的と方法である。